か細い棒切れに結ばれた赤い布があちらこちらで風を受け、へんぽんと翻っている。揺れる布は、こんにちは、そんな風に言っているようでもあるし、さようなら、そんな風に言っているようでもある。こんにちはとさようなら、その両の手に掴まれて身動きが取れなくならないよう、できるだけ私情を挟まずにぽっぽぽっぽとハトのような返事をする(ハト本短編第四集『笑い』より抜粋)
Archives for the ‘写真’ Category
綱神社
火曜日, 2 10月 2012
ひとが目で感じて捉えている世界は、世界のほんの一部でしかないということを、ここ尾羽の里にある綱神社に展開した川崎義博さんのサウンドインスタレーション作品で確認しましたが、サウンド、といわれると耳のことのように思われるかもしれません。しかし、耳が感じていることもまた、ひとが感じていることの一部でしかないでしょう。それじゃあ、五感で感じればそれが世界の全てなのかというと、そうじゃない、まさにそのことに気づかせてくれるのが、川崎作品の魔術なのです。
石釜(福岡)の棚田
火曜日, 14 2月 2012
これだけ奇麗な棚田を石で作るのは、ただ、この地域に石がたくさん出てきたからだと思うのだけれど、それでも、これだけ石を奇麗に積もうと思うのは、やっぱりひとの性(さが)なのかな。でも、石を奇麗に積み上げたいという性は、現代というつまらない時代にあっては割にあうわけもなく、煙のように環境に溶け、今では消えてしまった後でしょう。ただ、その性もまたそれこそ煙のように、本当は消えたのではなくそこに含まれてしまっただけでしぶとく存在しつづけているのだ、という気がし、つまらない現代に生きている私の、希望であったりします。
富士の裾野
金曜日, 11 11月 2011
山の麓に押し寄せる生活の波は、こうしてみるととても儚い夢のよう。たしかにそこに山はあるのに、、、、。私の生活に、本当に寄り添ってくれるものが何なのか、表現者として考えさせられた、富士の裾野に立って。